日本企業の賃金は第二次大戦後の疲弊の中で、非常に低い水準から再出発したが、労働者のギリギリの生活を保障するため若年者にくらべ生活費のかかる年配者にはやや高めに賃金を配分する生活給的な構造を持っていた。賃金率が年齢や勤続とリンクするこうした賃金体系の下では若年者や新規学卒者の賃金は必然的に安くなる。しかも若年労働力の供給が豊富だったから労働市場の需給関係からも若年者の賃金は低めに維持された。こうした条件の下で、成長する企業は、若年労働力を定期的にしかも大量に雇い入れたわけであるが、若年労働力の豊富な存在は日本の企業に成長のためのまたとない絶好の条件を提供することになった。低賃金の若年者を大量に採用してゆくので、成長する企業にとっては賃金費用総額が付加価値の成長ほどには増大しないで済んだからである。いいかえれば企業の成長にともなって労働分配率はむしろ低下するという事である。これは企業の内部留保の蓄積を助け、投資を刺激し、技術革新を進め、企業の競争力を強め、一層企業の成長を促進するという理想的な好循環を約束した。
(参考)
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