フォード出身社長が4代続いたマツダ

2011-08-22

日本の自動車メーカーで最初に提携先から社長派遣を受け入れたのはマツダである。まず、96年に英国フォード出身で、南米のベネズエラフォード社長を務めていたヘンリー・ウォレス氏を副社長に迎え入れた。その後、社長に昇格させて、フォードとの提携強化に乗り出していった。しかし、彼は1年で退任し、欧州フォードへ異動、その後、米国のフォード本社の財務担当副社長(CFO)まで登りつめて、このほど退任した。フォード出身の2代目社長には副社長としてマツダへ派遣されていたジェームズ・ミラー氏が昇格した。彼は、マツダ再建の加速化を狙って、大胆なリストラ策を発表したが、この合理化案が、労働組合、協力工場の反発を買って、99年9月に突如解任されてしまった。そして誕生したのが、マーク・フィールズ社長である。38歳の若さでの就任だった。彼は、1年半の任期を終えて、フォード本社へ復帰し、2002年7月にはフォードの高級車部門「プレミア・オートグループ(PAG)」担当副社長に栄転していった。フォードの経営体制は、ビル・フォード会長兼CEO、ニック・シェイラ社長兼COO(最高執行責任者)を頂点に、財務、開発などを担当する副社長が8人の経営陣を構成している。この8人が、フォードグループ35万人を率いる上級幹部なのである。その一角を占めるPAGは、英国のジャガーの買収などで欧州の高級車部門を傘下に収めたことから設置された部門である。フィールズ氏は、米国の名門大学ハーバードビジネススクールのMBA(経営学修士)を取得して、フォードに入社した異色の人物だ。米国の自動車業界、いわゆるビッグ3に入社する人材は、地元のミシガン大学出身者が多いといわれる。名門ハーバード大出身者の多くは、金融界やIT産業など有力企業へ就職していくのが普通といわれる。いまや、自動車産業は、米国の基幹産業と位置づけられなくなっているともいわれている。つまり、ハード産業からソフト産業へ主流は移りつつあるというわけだ。とはいえ、フィールズ氏は、フォード家とのつながりが深く、社内でも早くからエリートコースを歩み、将来の幹部候補生として歩んでいた、と指摘するむきもある。いずれにしろ、フィールズ氏の後任には、2002年1月に南アフリカフォード社長からマツダ顧問に転じていたルイス・ブース氏が就任。4代目のフォード出身社長である。ブース社長は、英国フォード出身で、生産畑を歩んできた技術者で、南アフォードの再建役として手腕を発揮した。いま、マツダは、フォードとの車台をはじめ部品の共通化、さらに共同開発車の推進など融合に取り組んでいる。それだけに、生産現場を知りつくしているブース氏への期待が大きかったといえるだろう。フォードとの共同開発のSUVをはじめ、車台を共通化した小型車「アテンザ」、さらに欧州フォードのスペインのバレンシア工場で生産する「デミオ」など、フォードとの関係は強まった。ブース社長は、「デミオ」の新車発表の会場で次のように語った。「デミオは、当社にとって、復活をかける期待の車だ。日本市場で、いま最も注目され、市場が拡大しているコンパクトカー分野への投入で、シェアの復活を期したい。先に発表したスポーツカータイプのアテンザも期待通りの台数を達成している。欧州市場では、好調な販売で、現地の販売会社からもっと送れ、といった声が相次いでいる。すでに6万台を超える受注を抱えている。そのため、防府工場はフル稼動を続けているため、部品の第二工場の再開を決定した」

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