【五平餅】それとも「御幣餅」?

2011-01-20

岐阜の郷土食として知られるのが「五平餅」だ。長野県の木曾・伊那地方や愛知県の奥三河の一帯でも愛され、現在では全国的にもその名が知られている。五平餅の材料は米。もち米を少量加える場合もあるが、ほとんどはうるち米のみを使用する。これを潰して串に練りつけ、それを火で焼いて一度素焼きにしてから、タレをつけて再び焼けば完成だ。タレは大きく分けて醤油ベースと味噌ベースがあり、そこにクルミや胡麻、落花生などをすりつぶして加える。酒やみりん、砂糖などの隠し味も使われる。五平餅は家庭でもしばしば作られるだけに、その形や味には、さまざまなバージョンがある。形については、大きく分けると団子型とわらじ型に分かれ、中津川市と恵那市を含む恵北地域は団子型が中心、恵南地域はわらじ型が中心となっている。団子型の五平餅には醤油ダレを使い、わらじ型には味噌ダレを使うのが一般的である。そのほか、きりたんぽ型、おにぎり型など、さまざまな形が存在する。また、使用する串についても豊富なバリエーションがあるが、大別すると竹串と木のヘラ型の串に分かれる。団子型の五平餅には竹串が使われ、わらじ型には木のヘラ型の串を使用するのが一般的である。岐阜県観光連盟会長賞を受賞した恵那市の古屋産業によれば、五平餅はその昔、木曾の漁師や木こりたちが、木の皮に飯を握りつけて焚き火で焼いて食べたのが始まりだという。その後、地元の人々の郷土食として親しまれて今日にいたっている。では、「五平餅」という名前は、どこからきたものだろうか。これについてはふたつの説がある。まず、「五平餅」という名は、「木こりの五平」に由来するという説がある。五平という人物が作った餅だから「五平餅」というわけだ。その一方で、形が神事に使う御幣(装束)に似ているため、「御幣餅」という表記が正しいとする見方もある。昔、山の神の祭りに御幣の代わりに使ったとも、山の神に供えたら形がたまたま御幣に似ていたともいわれる。いずれの説が正しいのかは不明だが、文豪・島崎藤村の有名な小説『夜明け前』の中では、「御幣餅」として登場している。「――おまんは隣家の子息にお民を引き合せて、串差しにした御幣餅をその膳に載せてすすめた。こんがりと狐色に焼けた胡桃醤油のうまそうなやつは、新夫婦の膳にも上った」藤村は木曾の出身だけに、なつかしい郷土の味を特別な思いで作品の中に描いたのかもしれない。このように島崎藤村にも愛された五平餅は、現在でも地元の人々に愛されている。とくに新米の収穫を祝う席には必需品で、各家庭で盛んに作られているという。

(参考)
大反響の香典返しハンドブック


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