子どもたちの世界に目を向けましょう。まだ社会経験のない子どもたちのコミュニケーションの場は、「親密」そして「カジュアル」です。そこでは当然、親密でカジュアルなことば遣いが発達します。中学生くらいから上下関係を意識して「インフォーマル」な場も踏みますが、「フォーマル」や「超フォーマル」な場は社会に出てから学ぶものです。多くの大人はフォーマルな場でのコミュニケーションのみを本当のコミュニケーションと考えたり、そこでのことば遣いが正しくて、そうでないと頭もよくならないのではないかと錯覚します。しかし、カジュアルであろうと、インフォーマルであろうと、フォーマルであろうと、その内容はいくらでも深くなり得ます。文豪夏目漱石が、自分の幼い子どもに宛てた手紙が残っていますが、お父さんと幼い子どもの間によく見られる、とても親密なやさしい口調で書かれています。やさしい表現で味わいのある、とても深い内容の手紙です。それと対照的に、ことばはフォーマルで、いわゆる「美しい日本語」で書かれたものでも、内容が浅薄で通り一遍の手紙はたくさんあります。